ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

「何、自分だけ吸ってんだよ? 俺にも寄越せって」


自己中心的な彼の態度を、優しく指摘してやると、ギロリと俺を流し見て、

「デカい口叩くようになったなぁ、皆人」

と、恐ろしく不敵な笑みをその顔に浮かべた。



――殺らなきゃ、俺が殺られる。

本気でそう思ったし。



けど谷口さんは、俺に向かって煙草のソフトボックスを差し出し、俺が中から一本抜き取ってくわえると、すかさず手にしているライターで火を点けてくれた。



谷口さんは、今はやりの『ツンデレ』なのかもしれない。

1ミクロも可愛くないので、俺にしたら迷惑なだけだけどね。