ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

「ほとけ……さん?」

間宮くんはボソボソとため息のように呟いた後、凍り付いたように身体を硬直させた。

口は半開きで呆然と俺の顔を見詰めている。



とにかく時間がない。こうしている間にも、坂下はどこかへ逃亡、もしくは真の標的の元へ向かっているに違いない。



「事件の早期解決に是非ご協力願います」

早口で一気に言い切り、建物の方へ手を差し伸べて、間宮くんを促した。


有無を言わさぬ威圧的な口調は、兄貴のそれを真似た。



間宮くんが歩き出すのを待って、俺も彼の後に続く。そしたら、数人の子どもが間宮くんを追うように駆け出した。



すかさず俺は振り返り、無理やりに笑顔を作って言った。

「良い子はここで待ってようね?」


自分の発した猫なで声に、気持ち悪くて吐き気がしたけど、この際仕方ない。



「なんでだよー?」


「俺らも行くー!」


ガキ共がブヒブヒブヒブヒ文句を垂れるからイラッとした。お前らに構ってる暇なんかねーんだよ。察しろよ、ちょっとはよー……なんて言えるはずもなく。