ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

とにもかくにも、生き物からただの物体に成り果てたであろうソレを、確認しないことには何も始まらない。



ゆっくり慎重に、一歩一歩踏み締めながら奥へ進む。


何ものかが潜んでいるとか、そんな可能性は皆無だけどね。だって部屋の空気が全く動かないし。



「ビンゴ」

苦々しい独り言が無意識に口からこぼれた。



40インチはあるだろうデカい液晶テレビのすぐ下、無造作に転がっている遺体は三つ。

どれも頭部に銃弾一発ずつ。恐らくは即死だろう。


その迷いのない鮮やかさに、またしても違和感を覚えた。

これが復讐だとしたら、余りにも事務的過ぎる。



ということは、だ。

害者はたまたまここに居合わせただけの職員で、坂下の標的はこの中に居ない?


だったら殺す必要なくね?



取り敢えず、『ほうれんそう(報告、連絡、相談)』だ。窪田に知らせようとジーンズのバックポケットから携帯を取り出す。


と、建物の外が何やら騒がしくなった。複数の子どもの話し声や笑い声が聞こえる。それが次第にボリュームを増し、こちらに接近しているのだと悟る。



施設の子たちのご帰還らしい。取り敢えず、子どもたちが無事だったことにフッと安堵の溜息が漏れた。