病院敷地内は全面禁煙。愛煙家に対して、すこぶる不親切。
敷地内の半分は優しさ(喫煙所)で出来ていてもいんじゃね? と、俺は思うのである。
なので、
病院すぐ隣のコンビニへ谷口さんと仲良くやって来た訳なんだけど。点滴がどうにも邪魔くさいんだな、これ。
それに、点滴パックをさっきからずっと頭上に維持していて、右腕が有り得ないぐらいダルい。
谷口さんはそんな俺の苦痛なんかにはお構いなしで、デニムジャケットの胸ポケットからヨレた煙草を取り出した。
それを軽く振って2、3本飛び出させて、口にくわえる。
もう片方の手で、サイドポケットからジッポライターを取り出し、涼しい顔して火をつけた。



