「兄貴」
声を掛けると、ゆるり、恨めしげな視線をこちらに寄越す。
「これでお相子だ」
わざと意地悪なことを言って笑ってやった。
兄貴は俺の心配なんかしてないで、自分の身を守ることを最優先で考えるべきだ。
だって来月、兄貴はパパになるんだし。
署の公用車を走らせて10分もしないうちに、ジーンズバックポケットの携帯が振動を始めた。
運転中の携帯電話使用は違法だが、車を路肩に停車している暇なんかない。
相手も確認せず、電話に出た。
「有坂くん?」
弱々しく囁いた電話越しの声。聞き覚えのあるそれは、今正に渦中の人、睦月くん。
「睦月くん? 今どこだよ? みんなすっげぇ心配してんだぞ。早く戻れって」
白々しくそう言ってみたけど、正直、こんなんで睦月くんが大人しく署に戻るなんて、いくら楽天主義者の俺でも到底思えなかった。
声を掛けると、ゆるり、恨めしげな視線をこちらに寄越す。
「これでお相子だ」
わざと意地悪なことを言って笑ってやった。
兄貴は俺の心配なんかしてないで、自分の身を守ることを最優先で考えるべきだ。
だって来月、兄貴はパパになるんだし。
署の公用車を走らせて10分もしないうちに、ジーンズバックポケットの携帯が振動を始めた。
運転中の携帯電話使用は違法だが、車を路肩に停車している暇なんかない。
相手も確認せず、電話に出た。
「有坂くん?」
弱々しく囁いた電話越しの声。聞き覚えのあるそれは、今正に渦中の人、睦月くん。
「睦月くん? 今どこだよ? みんなすっげぇ心配してんだぞ。早く戻れって」
白々しくそう言ってみたけど、正直、こんなんで睦月くんが大人しく署に戻るなんて、いくら楽天主義者の俺でも到底思えなかった。



