ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

そしたら突然に、勢い良く扉が開き、俺の後頭部にそれは激突。


その衝撃で前のめりになった俺を、咄嗟に谷口さんが抱き留めた。



きゅん――



な訳ねぇし。



「何すんだよ、谷口さん! 気持ち悪ぃだろ? 気を付けろって!」


「悪かった……って、何で俺が謝ってんだよ。胸に飛び込んで来たのはお前の方だろ?」



「吐いた、行くぞ」

中から出て来た兄貴は、素っ気なく言い捨て、俺たちを涼しげに流し見つつ通り過ぎて行った。



「吐いたって、何を?」

兄貴を追い掛けながら問えば、

「行き先に決まってんだろ? 蜂須賀の――


いや、坂下亮人(サカシタリョウト)の」



束原太郎も、

偽名だったのか……。