ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

「ああダメだ。これ、時間の無駄だわ。睦月が蜂須賀追ってっから、そこに合流する。ヘリ飛ばす許可、オッサンに貰って来るわ」


谷口さんは諦めたようにそう言うと、瞬く間に取調室を後にした。



待って。もしや俺も、谷口さん操縦のヘリに乗っちゃう感じですか?

俺は地上で追います、と。断固主張したい。



けれど、ものの5分もしないうちに、取調室の扉が再び開く。



「谷口さん、早かったね? やっぱ許可下りなかったっしょ? 桜庭ってドがつくケチだから……」


そこまで言って、入室した人物をようやく視界に入れ愕然とした。



いや、もちろん信じていた。疑うことなく信じていたさ。



『龍は必ず戻って来る』


だって、あの窪田がそう言ったんだから。



「皆人、出ろ。俺が吐かせる」


相変わらず再会の挨拶なんかナシだしね。

仕事命のクソ兄貴。


でも心ん中だけで言わせて。



お帰りなさい。

みんなすっげぇ待ってたんだからな、兄貴。