ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

蜂須賀の仲間、梶隼人(カジハヤト)、24歳。

実際、感染廃棄物回収業者の社員だった。


明るい茶髪だけど根本は真っ黒。そろそろ染め直した方がいんじゃねぇの? って思う。



取調室のパイプ椅子に腰かけるなりヤツは、

「弁護士を呼べ。それまで俺は何も喋らねぇ」

左頬を赤く腫らした顔に、不敵な笑みを浮かべて言う。



酷い顔だ。谷口さんにやられたんだろう。気の毒に。


そしてさらに、お前の言い分はここでは全く通用しないのだよ。気の毒に。



「悪いが……弁護士は呼ばねぇ。そしてただ今より、尋問と言う名の拷問が始まる訳だ」

谷口さんは平然と言い放つ。



「ふざけんな! 俺には黙秘権があるはずだ。そんなの違法だろ? このクソマッポ、なめてんのか? 訴えるぞ!」


「なめる訳ねぇだろ、気持ち悪ぃ。お前、自分の立場、ちっともわかってねぇみたいだなぁ。ここはなぁ、当然あるべき権利が当然のようにねぇんだよ。言ってる意味わかるか?」


谷口さんは、まるで諭すように穏やかな口調で、不実なことを言う。