ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

窪田がすかさず座ったままのみゆっちの傍へ行き、その肩をそっと抱く。

色ボケシルバーめ。

今だけ、今だけは大目に見てやる。その手つきに、厭らしさが微塵も感じられないことに免じて。



「龍は必ず戻って来る」

確信に満ちた声で、窪田はきっぱりと言い切った。


それはまるで揺るぎない真実のように聞こえた。

あの窪田が言うんだ間違いないよな、みたいなね。



「いくぞ、皆人」

言って谷口さんはオフィス出口へ向かう。


「『いくぞ』ってどこへ?」


「取調室に決まってんだろ。こいつに蜂須賀の行先を吐かせる」



そう簡単に吐くかな。

もし吐いたとして、蜂須賀はそんなの想定内だ。今頃既に、目的地を変更してんじゃねぇの?



それよりもまず、谷口さんって尋問とか出来んの? 俺はそこが一番心配。