「あの龍が『うっかり感染しちゃいました』、なんてことある訳ねーだろ。お前じゃあるまいし」
谷口さんは失笑しながら言った。
でも今は、俺の悪口なんかどうでも良くて。
「兄貴はバカだ。見損なったし。みゆっちにこんなにも辛い思いさせて」
俺がそう言うと、みゆっちは勢い良く顔を上げ、雫を瞳にたたえながらも、ふるふると顔を左右に振る。
いいや、たとえみゆっちが許しても俺は兄貴を許さねぇ。
いつもみたいに何食わぬ顔で戻って来たら、フルボッコだしね。二度と『見目麗しい』なんて言われないような顔にしてやるし。
だから――
戻って来いよ、兄貴。
「谷口さんは、兄貴が自分を犠牲にしてでも市民を救おうとして当然って言いたいのか?
だとしたら俺、谷口さんのことも軽蔑する。
あんたたちにとって、有坂龍一の代わりなんて、いくらでもいるかも知んねぇけど、俺やみゆっちには代わりなんて居ない。
この世にたった一人しか存在しない、かけがえのない家族なんだ。誰も代わりなんか務まんねぇんだよ!」
谷口さんは失笑しながら言った。
でも今は、俺の悪口なんかどうでも良くて。
「兄貴はバカだ。見損なったし。みゆっちにこんなにも辛い思いさせて」
俺がそう言うと、みゆっちは勢い良く顔を上げ、雫を瞳にたたえながらも、ふるふると顔を左右に振る。
いいや、たとえみゆっちが許しても俺は兄貴を許さねぇ。
いつもみたいに何食わぬ顔で戻って来たら、フルボッコだしね。二度と『見目麗しい』なんて言われないような顔にしてやるし。
だから――
戻って来いよ、兄貴。
「谷口さんは、兄貴が自分を犠牲にしてでも市民を救おうとして当然って言いたいのか?
だとしたら俺、谷口さんのことも軽蔑する。
あんたたちにとって、有坂龍一の代わりなんて、いくらでもいるかも知んねぇけど、俺やみゆっちには代わりなんて居ない。
この世にたった一人しか存在しない、かけがえのない家族なんだ。誰も代わりなんか務まんねぇんだよ!」



