ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

「……これからはもう、お前を甘やかす母親も兄も――

――居ないんだ」


そう続けて、俺の方へ身体ごと向き直った兄貴。その顔には、少女の血液だろう赤い飛沫が半面に付着していた。



まさか……まさかだよな?

そんな訳ねぇよな?


少女の血が兄貴の目に入ったなんてことねぇよな?

兄貴なら、反射的に目、閉じるよな?



あの時兄貴、目、閉じて――――――――なかった……か……。




「しっかりしろ、皆人」


そう言って兄貴は、

気持ち悪いぐらい優しい笑みを見せた。