ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

どうせ少女は死ぬのに……。

救急班来るまで命繋いで、それまで苦しめって言うのか?



「救急班は間に合わねぇよ。兄貴、頼むからもう……」


「皆人。苦しんでる彼女を見るのが辛いか? 蜂須賀はウィルスを持ってる。血清がなきゃ、もっと大勢が苦しむことになる。

いい加減、自分を甘やかすのはやめろ、皆人」


兄貴は俺の方を見ないからどんな顔しているのかわからないけど、その冷ややかな物言いからは、俺への失望が滲み出ていた。



「ふざけんな! 俺がこんなんなったのは、母さんやあんたが甘やかしたせいだろ?」

躍起になって言い返した。



「しっかりしろ! まだだ、まだ死ぬな」


兄貴は俺の言うことなんか、聞いちゃいない。今、正に逝こうとしている少女を、呼び戻すことに必死だ。