「皆人、救急班を呼べ。採血の準備を忘れるな」
「その子、もう助からねぇよ。楽に逝かせてやれよ」
「黙れ、皆人。お前は何も考えるな。言われたことだけやれ」
鋭く放たれた命令口調は、『従う』以外全ての選択肢を俺から奪った。
渋々携帯を手にした。
建物外のどこかに待機しているだろう、救急班を呼び出せば、すぐに電話は繋がった。
「2、3人寄越せ。採血セット忘れんなよ」
「はい。今、感染予防の装備を……」
「は? 何で今頃? お前ら何しに来たんだよ? ふざけんな」
思わず怒声を上げて、相手の返事も聞かずに携帯を床に叩きつけた。カシャッと大きな音を立てた後、それはスルスルと滑って行った。
兄貴は未だ、なんとかして少女の意識を保とうと必死だ。何度も何度もうるさいぐらいに呼び掛け、頬に触れたり軽く叩いたりしている。
「その子、もう助からねぇよ。楽に逝かせてやれよ」
「黙れ、皆人。お前は何も考えるな。言われたことだけやれ」
鋭く放たれた命令口調は、『従う』以外全ての選択肢を俺から奪った。
渋々携帯を手にした。
建物外のどこかに待機しているだろう、救急班を呼び出せば、すぐに電話は繋がった。
「2、3人寄越せ。採血セット忘れんなよ」
「はい。今、感染予防の装備を……」
「は? 何で今頃? お前ら何しに来たんだよ? ふざけんな」
思わず怒声を上げて、相手の返事も聞かずに携帯を床に叩きつけた。カシャッと大きな音を立てた後、それはスルスルと滑って行った。
兄貴は未だ、なんとかして少女の意識を保とうと必死だ。何度も何度もうるさいぐらいに呼び掛け、頬に触れたり軽く叩いたりしている。



