ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

痛ぇー! 痛ぇーよ、コンチクショー!

心の中で叫んだ。


本当ならトムジェリのトムみたいに、痛む右足両手で抱えてピョンピョン飛び跳ねたいところだけど、涙と共にグッと堪える。

もうホント、マジ死ねよ、クソ谷口。


これじゃあ正体バレバレじゃねぇか。潜入捜査になんねぇし。

極秘捜査じゃねぇし、公開捜査だし。



けど――

「指定時間キッカリだな。最低でも『10分前入り』が社会人の常識だけど、学生じゃあ仕方ねぇか」


蜂須賀は――いや、(胸のIDカードに記載されている名によると)束原太郎は、俺たちを見ても表情一つ変えず平然と言った。