金魚のフンならぬ谷口のフンだ。
ただただ、女だったらば思わず抱き付きたくなるような逞しい背中を追う。
コンパスは俺の方がデカいはずなのに、谷口さんの歩幅はやけに広い。そして、早歩きじゃなくて、もやはそれ競歩だろう? ぐらいの勢いで歩く。
冷たい廊下を右に左に何度も折れ、黙々とひたすら進む。
やがて――
一つの部屋の前で谷口さんは立ち止まった。
扉の横には、四角くて小さな機械。ロッカールームと同じIDリーダーのようだが、谷口さんは自分のIDカードを使う様子はない。
社員は社員でも、ある特定の一部の人間しか入れないってことか。
谷口さんは迷うことなく、その下にもう一つ設置してあるインターホンの小さなボタンを押した。
ただただ、女だったらば思わず抱き付きたくなるような逞しい背中を追う。
コンパスは俺の方がデカいはずなのに、谷口さんの歩幅はやけに広い。そして、早歩きじゃなくて、もやはそれ競歩だろう? ぐらいの勢いで歩く。
冷たい廊下を右に左に何度も折れ、黙々とひたすら進む。
やがて――
一つの部屋の前で谷口さんは立ち止まった。
扉の横には、四角くて小さな機械。ロッカールームと同じIDリーダーのようだが、谷口さんは自分のIDカードを使う様子はない。
社員は社員でも、ある特定の一部の人間しか入れないってことか。
谷口さんは迷うことなく、その下にもう一つ設置してあるインターホンの小さなボタンを押した。



