ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

俺も同じ様にIDカードを身に付けながら、

「あの、お言葉を返すようですが谷口さん。学生ってのはいくら何でも……。即刻、正体バレやしませんかい?」

おずおずと物申してみる。



「医大生なんか、オッサンみてぇなのがウヨウヨ居るだろ?」

「そうなの?」

「知らん」

「え? 何その『時の流れに身をまかせ』な感じ。あんた、ジュディ・オングか?」

「テレサ・テンだろ?」


さすが昭和っ子、詳しい――じゃねぇわ!



けどこの人には何言ったって無駄なんだ。どうせ、上からの指示に従うのみだの何だの……。



「俺らはただ、上から言われた通りに動けばいい。なーんも考えなくていいから楽だろ?」


まるで――

友達を遊びに誘う小学生のような無邪気な笑顔でそう言った。



ほらね。