ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

一時の安らぎ時間『ニコチンタイム』を終えると、谷口さんは今度は上着のサイドポケットからカードのような物を取り出した。


自動ドア横に張り付いている、四角いID認証装置みたいなのにそれをかざせば、ピッと短い機械音が鳴りドアが開いた。


どうやら、事前に段取りは全て完璧に整えられていたらしい。知らぬは俺だけってやつだ、バカにしやがって。



アイボリー一色の無機質な冷たい通路を50メートルほど真っ直ぐ進めば、突き当り手前、左手が少し窪んでいた。


そこにあった表記が何もない扉を開ければ、これまた無機質なアイボリーの階段が上階にも下階にも続いている。


その階段を3階まで上り、通路を右に左にと折れながら進んで、またID認証装置が設置してある扉の前で谷口さんはようやく立ち止まる。


そうして再びIDカードを取り出し、それを使って中に入った。