木々の葉が暖色に染まる山麓。

龍一たちを乗せた乗用車は、何もない道路脇のスペースに停車した。


降り立てば、大人の脛ほどの高さの雑草が生え放題。

端まで歩けば、囲いも何もなく崖、そして寂れた夜景が見下ろせる。


道路挟んで山の斜面側は小高くなっており、トレーラーハウスが3つ並んでいた。



キャンプ場か。


龍一はここへ来た目的を悟り、他の者たちに気付かれぬよう小さく溜息を吐いた。



ここで一晩……いや、何泊するつもりだろうか、と。


セダンには食糧など積んでいない。トランクには、『モノ』が入っている。


『モノ』と共に奪ったライトバンはここへ来る途中に乗り捨てた。

発見されるのは時間の問題だが、漆原たちは計画を早急に――恐らくは数日で決行するつもりらしく、特に支障はないようだ。