ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

「俺らが今後どう動くか考えたら、なんか見えてくんじゃないっすか?」

と、一応何かしゃべっとくか的なノリで言ってみる。


「んなことわかってんだよ、バカ皆人」

谷口さんは心底うんざりだと言わんばかりのしかめっ面で、いつものごとく俺をバカ呼ばわり。



う~ん。

なんかモヤモヤする。


野獣谷口のバカ呼ばわりにムカついている訳じゃなくて。もちろん腹立たしいけれども、そうじゃなく……。


俺、何かとてつもなく大事な忘れ物をしているのではなかろうか。



「あっ!」

思わず大声を張り上げた。


谷口さんが「やかましいわ」と俺の頭をはたく。



「……っつっ。くそっ」

思わず毒づいて、じんと痛むそこを手でさすった。


谷口さんの張り手は、本人は軽くやったつもりでも、恐ろしいほどの破壊力なんだよ。

いい加減自覚して頂きたい。