「――で。モノは奪えなかったから奪わなかった、と。へぇ、そりゃあ仕方ねぇなぁ」
薄っすら微笑んで窪田は気怠そうに言う。
が、突如、その顔から笑顔は消える。そして、重厚感たっぷりの低い声で続けた。
「とでも言うと思ったか、皆人?」
俺と窪田、そして谷口さんしか居ない無駄に広い会議室。
窪田の声は、さほど大きくもなく静かだったが妙に響き渡った。
ズラリと並んだ長机に沢山の椅子。けれど、俺たちは部屋の奥、窓際に仲良く並んで立って居た。
やっぱこえぇーよ、窪田駿。
そして、あんなにも不快だった『美少年』って呼び名が、いざ窪田に『皆人』と名前で呼ばれると、なんだか逆に恋しかったり。
薄っすら微笑んで窪田は気怠そうに言う。
が、突如、その顔から笑顔は消える。そして、重厚感たっぷりの低い声で続けた。
「とでも言うと思ったか、皆人?」
俺と窪田、そして谷口さんしか居ない無駄に広い会議室。
窪田の声は、さほど大きくもなく静かだったが妙に響き渡った。
ズラリと並んだ長机に沢山の椅子。けれど、俺たちは部屋の奥、窓際に仲良く並んで立って居た。
やっぱこえぇーよ、窪田駿。
そして、あんなにも不快だった『美少年』って呼び名が、いざ窪田に『皆人』と名前で呼ばれると、なんだか逆に恋しかったり。



