ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

ああ、その為か。

その為にあんな、わざとらしいほどに優しい言葉掛け。


てか、全然逆効果なんですけど?

こっちは只今、激しい胃もたれと吐き気に襲われているんですけど?



「お前、窪田さんにメチャクチャ愛されてんじゃねぇか。頼むよ」


とうとう下手(シタテ)に出た。

あの野獣谷口が。



「愛されてねぇし」

ボソリと言ってやったが、もうそこは聞く耳は持っていらっしゃらないらしい。


谷口さんは鼻唄なんぞ歌いながら、堤防の斜面を軽やかに上り始めた。



あの傍若無人、向かうところ敵なしの谷口さんですら、窪田は脅威の存在なんだろうか。


なんでだ?



そんなん言ったら、俺だって怖いし。

いつかヤラれる、とか本気で心配しているしね。



心の中でだけブツブツ呟きながらも、谷口さんの後を追った。