ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

やがて、腕一本程度の距離感を残し立ち止まった。


不意に、谷口さんの腕が俺に向かって伸びて来て、ビクッと身体が跳ねた。


が、その手は俺の左肩へ、ポンとソフトに着地した。

そうして谷口さんはニッコリと微笑む。


き……気持ち悪ぃー。



「うんこだと思うから嫌なんじゃないかな? 皆人くん。バナナだと思えばいいじゃないか」

甘ったるい声で、妙に丁寧な言葉使い。


オエッ、吐きそうなんですけど。


しかも、『うんこをバナナと思え』などという、無理矢理な心理操作。


ふざけんなだし。



俺がとてつもなく不快な思いをしているというのに、谷口さんはそんなのお構いなしで、声のボリュームを限界まで絞ると、囁くように言った。


「窪田さんにはお前からキッチリ報告してくれな」


「な、なんでぇ?」