ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

「証人は口無しだし、収穫ゼロかよ? 俺のスニーカーにうんこ付けに来ただけじゃねぇか!」


そうなのだ、今日一番の悲劇と言えばこれだ。

だがそれを聞いた野獣は、面倒くさそうに舌打ちしやがった。


「てめぇ、こんな時に何言ってやがる」


唸るように言う谷口さんにちょっと怯む。

音量は大したことないのに、地鳴りのように俺の元へとしっかり届く。


恐ろしい……。

俺、殺されるんじゃないだろうか。


チビりそうだ、頑張れ俺の膀胱。



谷口さんがゆっくりと歩き出し、ジワジワと俺との距離を縮める。

その眼光は凄まじい破壊力をもってして俺を貫き、目線だけで逝きそうになる。



逃げなければ、と思うも足が竦んで動けない。

蛇に睨まれた蛙くんの気持ち、今ならわかる気がするよ、俺。