ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

「――と言いたいとこだけど、お前も、そして有坂皆人、お前も、俺たちの駒の一つだ。今後は俺たちのために動いて貰う」


「へ? バカじゃねぇの? 俺ら刑事が、あんたら悪党の言いなりになる訳ねぇし?」

俺は正論を言ったつもり。


が、蜂須賀は可笑しそうに声を上げて笑い出した。


「どうだかね。お前らは仕事をすりゃあいい。本分を全うしてくれな。そうすりゃ俺たちの仕事は全て巧くいくんだよ」


意味不明な言葉を残し、蜂須賀は車の後部座席に乗り込んだ。

兄貴も俺に意味深な一瞥をくれた後、助手席のドアを開け、ふわりとそのシートへ腰を落とす。



見計らったように、蜂須賀たちが乗ってきた車が動き出した。

運転手はそのまま待機していたらしい。

俺ってば、全く気付かなかったし。



バックで坂道を上り切って堤防上で一旦停車。今度は前方へタイヤを鳴らして急発進した。



漆原が運転する車もその後に続き、あっという間に、二台は夜の闇に吸い込まれて消えた。