ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

「取りあえず、車降りろや、有坂皆人」


蜂須賀が親しげに言う。銃口向けられてちゃ、従うしかねぇよな。



しぶしぶ言われる通りにした。

自ら両手をホールドアップして、抵抗の意思がないこともアピール。


だって、まだ死にたくないしね。



河川敷に視線をやれば、谷口さんは谷口さんで、取引相手四人の銃口を独占していた。



欲張りさんだなぁ、谷口さん。

ついでにこっちのお三方の銃口も集めてくんねぇかな。



「てめぇ、サツか?」


四人のうちの一人が谷口さんに問う。


「いや、通りすがりのもんだ。ちょっと面白そうだったんで……」


「ふざけるな」


落ち着き払った声と共に、カチッという乾いた音が聞こえた。



谷口さんに最も近い位置の男が安全レバーを外したんだなぁ、多分。


野獣谷口、ピンチ。