ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

こうなったら車ごと奪ってやる。



すぐさま荷台に乗り込み、ドアを勢い付けて閉めた。そうして素早く運転席へとシートを乗り越え移動し、エンジンがかかったままの車を急発進させた。



谷口さん、ここでお別れだ。


さようなら。



堤防へ続く坂道を猛スピードで登っていると、反対側から別の車が下って来た。


何で今だよ? チキショー。



二台がすれ違えるほどの幅は、明らかにない。

ハンドルを切って堤防斜面側に車を寄せ、対向車を坂道から突き落として突破しようとしたが、やっぱり無駄だった。



バンの横腹に、対向車は突っ込み、その衝撃によって、ボンネットが斜面に突き刺さった。


ボンネットがグニャリといびつな形に折れ曲がり、エンジンルームからシュルシュルと嫌な音を鳴らして煙が立ち上る。



いや、ここで諦める俺じゃないし。

チキンをなめんなよ。