ロシアンルーレットⅢ【アクションコメディー】

「待てよ。金はキッチリ用意した。いらねぇのか?」


「いらないね」


谷口さんが苦戦しているが、俺には関係ない。


自分の尻は、自分で拭きなさい。



バンの尻(ケツ)へと回り込み、リアドアの取っ手に指を差し入れ手前に引く。カチリと乾いた音を鳴らし、ドアは少し持ち上がった。


開けすぎたら目立つ。


くぐるようにして隙間からドアの内側へ入り込んだ。



え?

『モノ』ってコレ?



二十歳にも満たないであろう幼い少女が、荷台の隅っこで震えている。その胸に、アタッシュケースを大事そうに抱えて。



ああ、これか。けどこの少女は? ヤツラの仲間なのか?



情報ゼロだし、どうすりゃいい?