「ほな、帰るわ」
「へっ、もう帰んの?」
「うん。渉も寝た方がええやろ」
立ち上がりかけた美桜の手を引っ張って
「も、もうちょっとだけ、居て、な」
「……」
「美桜が傍に居てくれたら早よ治るし。な、お願い」
俺、何か…子どもみたいや。
ちと、恥ずかしい。
「うん、ほなもうちょっとだけな…渉もしんどかったら寝てや」
「ありがとう」
美桜に寝るよう促され横になる。
「明日も雨かな」
「うん。天気予報では雨やって」
二人して雨の降るのを見てた。
雨音と美桜の声で、段々眠りに誘われる。
俺の瞼が塞がった時
美桜が俺の耳元で
「早よ、治してな。治らへんと…キスできひんよ」
……
…
俺の聞き違いやろか?
雨音が美桜の声と重なって…
美桜の笑顔だけが浮かんでる。
美桜……
夢の中で会えたらええな。
――
―
※Fin*