渉の家に着いて

「あれ、鍵かかってる」

鍵を取り出し開けて

「さ、どうぞ」

「ありがとう」

雪を払って、入らせてもらう。

「おかん、まだ帰ってへんのか」

暖房をつけ

「すぐ暖まるからな」

「うん。渉のお母さんは?」

「今日はシルバーアクセの日やねん。そやけどいつもやったら三時には帰ってるんやけど」

「やっぱりこの雪やから無理なんちゃう?」

「そうかもな。あっ、ごめん。お茶淹れるわ」

「渉 着替えといでよ。その間に淹れとくし」

何回か遊びに来てるから大体は分かる。

「そうか。ほな頼むわ。俺」

「紅茶やろ」

「うん」

ニコッと笑って二階へ上がって行った。

ズキン!

絶対あの笑顔は反則やて。

今だにドキドキするもん。

気持ちを落ち着かせて、お湯を沸かし紅茶を淹れる。