ついにこの時期がやってきた。

雲雀の胸はいつも異常に高鳴っていた。


「百合ちゃん、百合ちゃん!!!」


休み時間、雲雀は百合の教室で一際大きな声を上げていた。

百合はクラス中の視線感じながらも雲雀の元へ向かう。


「雲雀っ!ちょっと声大きいってば!」


雲雀は百合に腕をつかまれ、廊下の隅のほうへと引っ張られた。
しかしそんなことはお構いなしだ。

雲雀はテンションが上がりすぎていて、そんなことは気にも留めない。


「で、どうしたの?」


「見て見て!これ!」


雲雀が百合の目の前に差し出したのは一枚のプリント。


「ああ、なんだ・・・。」


「なんだって・・・。学校の一大イベントだよ!?
百合ちゃん嬉しくないの!?」


百合は雲雀のテンションの高さについていけず、一人ため息をついた。

雲雀が出してきたのは“栖川ファッションフェスティバル”、つまり文化祭の知らせである。
一大イベントであるのは確かだが、毎年あるので正直、雲雀ほど楽しみではない。


「嬉しいよ。雲雀ほどじゃないけど。」


「今年は何の係りになろっかなぁ。百合ちゃんはどうする?」


百合は少し考えてから口を開いた。


「私、今年は何もしないかも。それか楽な仕事にする。
受付とか、係員とか。」


「えぇー!?一緒にショー関係の仕事やろうよー!」


「ごめんね、雲雀。でも今年はさすがにパス。」


雲雀は拗ねたように目線を下ろした。