ボーッとその様子を眺めている雲雀。
隼はその頭をプラスチック製の定規で叩いた。


「いだっ!!!」


雲雀は頭を両手で押さえた。


「手ぇ動かせ、ダアホ。」


雲雀は渋々手を動かした。


「先輩、凄く綺麗な作図書くんですね。顔に似合わず。」


最後の言葉に隼はピクリと反応した。
そしていつも通り雲雀を睨みつける。

雲雀はそれに気付いて肩をすくめた。


「もっぺん殴られたいんか?」


雲雀は何度も首を横に振った。

隼はまたハトロン紙に向かって黙々と線を引く。
本当に迷いの無い真っ直ぐな線を書く。

また見とれそうになり、雲雀は自分を叱咤した。


「あっ!」


素っ頓狂な声を上げ、隼はまた雲雀を睨んだ。


「先輩!あたし凄くいいこと思いつきました!」


隼は見向きもせずに着々と作図を完成させていく。
雲雀も構わず言葉を続けた。


「あたし今まで先輩の言うこと全部聞いてきましたよね?

ジュース買いに行ったり、一番人気のお弁当並んで買ったり、教科書を教室まで届けたり・・・。
それで今みたいに仮縫い手伝ったり。

だから今度はあたしの言うことも聞いてくださいよ。」


隼は手を止めた。


「あたしに、作図の書き方教えてください!」


雲雀は力強く言い放った。