「買ってきました。」


雲雀はいちごオレを男に手渡した。

男は無言でそれを受け取る。


「あの、学生証は・・・。」


「何回もうるさい奴やな。ほれ。」


男は雲雀の学生証を差し出した。

それを受け取ろうと手を差し伸ばせば、それをかわすようにヒョイと手を引っ込める。
おそらく男は返すつもりは無いらしい。


「返してください・・・。」


弱気に小声で言えば、男はいちごオレを飲みながら答えた。


「返すなんて一言も言うてへんやろ。」


雲雀は俯いた。

何故こんな面倒なことになってしまったのだろう。
とっとと返してもらって、家に帰って課題をやらなければいけないのに・・・。

この男のせいで何もかも滅茶苦茶だ。


「どうしたら返してくれますか?」


男はその言葉を待っていたかのように口を開いた。


「これから俺のパシリんなれ。」




雲雀の目の前が、一瞬真っ暗になった。