夕方になると凜は
夕飯の準備をし始める

母の機織りも最後の仕上げに入る


「かあさん、夕飯できたよ」

凜と母は向い合わせで
炉端に座った

もうすぐ冬だが
炭があまりないために
火はめったに焚かれない

今日もすきま風に髪を揺らしながら
夕飯を食べることになりそうだ

夜は玄米と漬物、
白湯も少し


「凜、今日で頼まれてた着物が
出来上がったんだよ
だから明日、町へ行って
三橋呉服屋にもってってくれる?
注文を受けて作ったものだから
いつもより高く売れるはずさ」

「本当っ?
なら明日、朝一で
出掛けてくるよ!
そんで出きるだけ早く戻って来るね」

「そうだね、ありがとう
…昼飯は久しぶりに
母さんが作っておくよ」

「いいの?
母さん、しんどいんじゃ…」

「たまには母親らしいこと
させておくれよ?
凜は安心して着物を
届けてくれたらいいから」

「そっか、…わかった
お昼楽しみにしてるからね」


二人は笑いあい、
それぞれの部屋に入って床についた


凜の一日もやっと終わる