魚売りと別れてからも
凜は村をどんどん突っ切り
門のところまで来ていた
門は外と村の境界線で
村を守る役目も果たしてる
凜はそのまま村を出た
けれど笹神町へ通じる道ではなく
畑に向かう小道を歩き
森に入り、小川をこえ、
祠にやってきたのだ
いつものように丁寧に掃除し
お供え物を綺麗に並べる
一通り終ると、
改めて祠に向かい合い
てをあわせた
「母さんが織った着物が
高く売れますように…
そしたら母さんに、
美味しいもの食べさせて
あげられるんです」
ほとんど
聞こえないくらいの声で
凜は囁いた
目を閉じ、
しばらく祈っていた凜だが
再び口を開いた
「私、今日で
じゅうしちになります…
けど母さんはたぶん私の誕生日を
覚えていません
物心ついたときからずっと
母さんは私の誕生日を
祝ってくれてないからです
…私も、ほんとの自分の誕生日が
いつなのかわかりません
けれど私の心が毎年この日に
嬉しくなるのを感じます
…神さま、ちっぽけな私だけど
お祝いしてやってください」

