「ここ、…どこ?」
私、宇京 凜(うきょう りん)
は小さく呟いた
確か昨日の夜、珍しく母さんが
一緒に床に就こうと言ってくれた
久しぶりに感じた母さんの温もり
けれどめを冷ましてみれば
そこは薄暗く、冷たい
洞窟のような所だった
周りを見回してみると
光が差してくるのが微かにわかった
とにかくここがどこか知りたい
ぱっと立ち上がり、裸足のまま
駆け出した
だんだんと光が近づく
あそこがここの洞窟の入り口なのかな
だったらとりあえずは
ここから出られるはず
その時だった
「苦労して手に入れたお主よ
そうそう逃がすものか」
背後から、いや洞窟全体から
低い声が響き、混乱する私を包むように
反響した
驚き、とっさに振り向いた私が見たものは
白い光を放つ龍だった

