準備を終わらせて、玄関へ行くとすでに靴を履いた翡翠が携帯をいじってた。
翡翠はわたしに気づき、一緒に家を出た。
会社に向かうのは、昨日と同じ翡翠の車。
車の中では翡翠とちょこちょこと話しをしながら、会社へ向かう道を覚えるために外を眺めた。
外を見てたのはそれだけのためじゃないけど。
会社へ着くとさすが社長、翡翠は顔パスで中へ入る。
わたしは翡翠と一緒に居たから名前を書くだけですぐに中へ入れた。
社長室に行くと理恵さんがいた。
「あら?
ユリちゃん、おはよう。
翡翠と一緒に来たの?」
理恵さんは翡翠には挨拶をせずに、わたしに問い掛けてきた。
「さっきメールしただろ。
今からユリも連れて会社に行くって」
だけど、答えたのは翡翠。
「そうなの?
気づかなかった」
はぁ……
と、翡翠はため息をついた。
"来るときにメールしろって言ったの誰だよ"
って呟きながら。



