リビングのソファーに座っている翡翠を見ると、いまだに新聞を読んでいた。
さっきのはテキトーに答えてたんだね。
わたしは翡翠に近づいた。
よく見るとこの新聞、英語だ。
すげー………
じゃなくて。
「ねぇ」
「………」
すごい集中力。
「ねぇってば!」
「ん?」
頭を少し傾げてこっちに視線を向けた翡翠。
わたしがちょっと声を大きくして、やっと耳に入ってきたみたい。
「あのさ、食材何もないんだけど」
「この家には食材は何もない」
「じゃあ、今までどうしてたの?」
食材がないって……
食べてないのかな?
「朝はほとんど食べないし、昼は会社の食堂か理恵が作った弁当、夜は外食かデリバリーで頼むか」



