恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】




しばらく沈黙が続いた。
その中で先に口を開いたのは、翡翠だった。



「ユリ……でいいのか?」


多分名前のことだろう。




わたしは本名を名乗ろうか迷ったけど、本名じゃなくてもやっていけるし、似たようなものだから、そのまま頷いた。






「ねぇ、家事って洗濯も掃除も全部?」



「ああ、そうだ」



「……わかった」



なんかメイドみたい。




外を見ると、もう空はオレンジ色に輝いていた。
窓に入ってくる光りはすごくきれいだった。




そろそろ、夜ご飯作った方がいいのかな。





翡翠の好きな食べ物って何だろう。
嫌いな物とかあったら、今後大変だし、今のうちに聞いといた方がいいよね。





「ねぇ、キッチン借りていい?」



ご飯作れとか言われていて、聞くのはどうかと思うけど、新聞を読んでいた翡翠に一応聞いといた。




「ああ」