聖真さんだ。
「父さん……何やってるの?」
聖真さんはわたし達を見て目を見開いた。
「この娘は人質さ」
「人質……?
なんでそんなこと……」
「俺はどうせもうおしまいなんだ……
だから最後くらいはな」
「最後くらいは………なに?」
いつも陽気な聖真さんの顔が曇った。
「この娘と楽しむんだよ」
「やめろ!その娘は……だめだ!」
「どうした?聖真……
お前も来るか?」
「違う!
そんな父さんがっかりだ!」
「聖真……お前もそういうこと言うんだな……」
瞬間、百瀬社長の力が抜けた。
「輝秋!」
「わかってる」
近くにいた木村さんが素早く百瀬社長の腕を取り、小刀を落とした。
そして、わたしも解放された。



