「ちょっと待って」
だけど、亜由美さんに腕を掴まれ、それを阻止された。
「先にこっち……お願い……」
亜由美さんの視線を追うと髪をオールバックにした厳ついおじさんがいた。
あの人が亜由美さんの?
そうだ、先にこっちを済ませなきゃ。
わたしは翡翠達とテーブルを挟んだ反対側にいるおじさんの方へ足を運んだ。
「珠莉…?」
翡翠の声も気にせず、進んだ。
「亜由美……この小娘はなんだ?」
小娘ですか……
なんか、翡翠よりも怖い……
「この娘が、黒崎社長とお付き合いをなさっているの。
それより、お父様………」
「この娘が………へぇ〜」
「お父様!」
「なんだ?」
「渉をどこにやったの?!」
ワタルっていうのが、彼氏の名前かな。
「お前、まだそんなことを言ってんのか。
もっと会社のことを考えろ」



