「見つけた……」



珠莉に近寄って持っていた荷物を取り、片方の手は珠莉の手を握り、歩き出した。



「翡翠?来なくてよかったのに。
今、入り口に向かってたところだったの」



は?



「あほか!
お前のいたところは入り口とは反対側だ!」



ありえない……
珠莉が方向音痴だったのは薄々気がついていたが………

ここまで酷いとは………




「おかしいなぁ。
今日は大丈夫だと思ったのに………」



その言い方だったら、自分で方向音痴って気がついてるんだな。



前会社まで(途中までだけど)歩いて来れたのは奇跡だ。




はぁ、とため息をついてデパートを出たのを今でも覚えている。






何もなければいいけど………

そう思いながら急いで珠莉を捜す。