恋する*spring~春をうられたわたし~【完結】




恥ずかしくて俯く。
だけど、翡翠がまたわたしの顔を引き上げた。




「ユリ、言っただろ。
俺はお前が望まない限り傍にいるって」



「だって………それは、わたしがかわいそうだから………
同情したんでしょ?」



「違う!
それは俺がユリの傍にいたいからだ。
それに距離をおいたのは、ユリに触れたら自分が抑えられなくなるから」



翡翠がわたしの……?
どうして………
抑えられなくなるって、どういう意味?



「俺も……お前のことが好きだからだ」



「う、うそだ………」



「嘘じゃない。
俺は最初から、お前に惚れてんだよ」




その言葉が嬉しくて嬉しくて、涙が溢れる。



「翡翠……翡翠………」



そして、何度も何度も名前を呼んだ。

その度に翡翠はキスの雨を降らせた。
何度も何度も、わたしを安心させるように。



しばらくして、翡翠は言った。



「なぁ、ここにしていいか?」



そう言って差したのはわたしの唇。




「うん……
わたしのファーストキス、翡翠にあげる」



そう言うと、翡翠は一瞬驚いた顔をしてから
「じゃあ、いただきます」と言って顔を近づけてきた。