だけど、翡翠は後ずさるわたしの手首を掴み、抱き寄せた。
「何をそんなに悩んでる?」
「なんでもない………」
「嘘つくな……
お前水族館に行った日から……いや、それより前からおかしいぞ」
「おかしくないもん!
普通だよ……」
翡翠の言ってることは正しい。
だけど、ほんとうのことは言えない。
「本当のこと言え」
顔を両手で挟まれて持ち上げられ、視線が合う。
力強い瞳で訴えられるけど、わたしは翡翠のシャツを掴み首を横に振る。
「ユリ……話せ」
わたしはまだ、いやいやと首を横に振る。
「前に言っただろ。
一人で溜め込むなって………俺をもっと頼れって。
ユリ……言え、どんなことでもいいから。
俺は離れていかない……絶対に」



