「うん。ちょっとね。
面白そうだから、ユリちゃん誘拐してみる」
「えぇ?!」
涙も吹っ飛ぶようなことを言う木村さん。
こんな人だったんだ。
人って見かけによらないって本当なんだ。
「それにユリちゃんも、翡翠に会うのは気まずいでしょ?」
それはそうだけど………
「ところで、どこに行くの?」
「俺も仕事が残ってるし、ユリちゃん一人じゃ危ないし………
俺ん家かな?」
木村さん家?!
まぁ……仕方ないか……
昨日、あんなことあったばっかりだし、誰かの家の方が安全だよね。
木村さんもマンションに住んでいて、会社からそこまで離れていないところに、そのマンションはあった。
翡翠同様、高そうなマンション………



