「心配してくれて、ありがとうございました。
じゃあ、帰ります」
とにかく、翡翠と会わない内に早く出たかった。
わたしは木村さんと二人で社長室を出て、駐車場へ向かった。
後部席に座ろうと思ったけど、木村さんに助手席に座るように言われて、助手席に座った。
車が走り出して少し冷静になる。
翡翠にあんなことをされたのがすごく悲しい。
そう思うと涙が出てくる。
最近泣きすぎだ………
帰るまで我慢したいのに……
「翡翠に何かされた?」
車を運転している木村さんに聞かれた。
「あいつは気が動転すると、周りが見えなくなるからなー」
気が動転してるどころじゃなかった。
「翡翠があんなに怒ったの初めて見た………」
涙を堪えて質問の答えとは程遠いことを言った。
「あぁ、なるほど。
大体わかった」
え?今ので?
木村さんって何者?
というか……
「木村さん、方向違わない?」



