「……ッん、ひすぃッ……やだぁ……ヒック」
我慢が出来なくて、涙が出てくる。
「うぅ〜……やめて……」
ハッと顔を上げた翡翠。
「ユリ……」
わたしが泣いているのに気がついて、申し訳なさそうな顔をしている。
わたしを起こした翡翠は、流れる涙を拭こうとしたのか、頬に手が伸びてきた。
だけど、わたしは……
パシ―――
「触らないで!
翡翠なんか………大っ嫌い!!」
そう言い残して社長室まで戻った。
一人で戻ってきたわたしに三人は驚いている。
「木村さん、お願い……車出して」
「いいけど……どこかに行くの?」
「今日は……帰る」
「わかった。翡翠は?」
「翡翠なんか知らない!!」
そう言ったわたしにまたまた三人は驚いた。
だけど、わたしは気にせずに帰る準備。
「理恵さん、これ翡翠のお弁当」
理恵さんにお弁当を託し、出口まで行く。



