話し聞いてたんだ。
「わかった」
「えぇー!ずるい!
じゃあわたしも〜」
「理恵さん……」
ということで、みんな敬語を使わなくなった。
なんかみんなとの間に建っていた壁が取り除かれた気分だ。
嬉しいなぁ。
「ところで、その手首………」
「理恵」
理恵さんはそこまで言って翡翠に名前を呼ばれて、ハッとした。
手首………?
わたしは自分の手首を見た。
これ………
手首には手の跡がくっきりと痣になって残っていた。
気づかなかった………
手首を見て自然と思い出す、昨日のこと。
「ユリ、こっちに来い」
いつの間にか近くに来ていた翡翠に腕を掴まれ、デスクの後ろにある部屋に連れていかれた。



