ホームルームの終わりをつげるチャイムが響く。

ざわざわと騒がしくなった教室で、俺は黙々と帰り仕度をする森口の背中を見つめていた。

白い柔らかそうな頬と、ヤボったいビン底眼鏡。

今時あり得ない膝下10センチのスカートと、アイロンのかかった真っ白の制服。

その上で揺れる、固く編まれた荒縄みたいなミツアミ。

森口は、今確かにダサさ全開で目の前にいるのに。

まるで儚い幻を見ているような、おかしな気分になる。

『私は、いつか消えなきゃいけないから』

今朝の彼女の泣き顔が浮かんで胸が傷んだ。

消えるってなんだよ?

じゃあ、どうしてお前はそこにいるんだよ?

お前は……本当は……。

「もぉヒロ?
どーしたのぉ?
朝からぼんやりしちゃってさ。」

ボインと視界がDカップに遮られた。

思わずそこに目が行くのは、男の性だ。

別に俺がスケベだからじゃない。

多分。

「別に。
なんでもねーよ」

巨乳から顔をそらして鞄にノートを突っ込む。

「いやーん。
ヒロ、最近冷たーい」

美佳は不満そうに胸を揺らして、俺の袖を引っ張った。