そうだ。

きっとこれは病気なんだ。

じっと潜伏して、

いきなり発病する、タチの悪い流行り病の一種に違いない。


胸にあてた指を曲げ、制服のシャツを握りしめる。




「最悪だ」

呟いて、伏せた顔を少しだけ持ちあげ、目にかかる前髪の隙間から森口を盗み見た。

白い柔らかそうな頬に、キュッと胸がしなって、

再び顔を伏せた。


マズイ。

今や俺は正常な判断すら出来なくなっている。

あの、森口の顔が可愛く見えるなんて……

錯覚もいいとこだ。


まさか、既に脳も侵されているのか?…―


「なんて恐ろしい病なんだ」

このままじゃ駄目だ。

わけがわからないまま、確実に進行してしまう。