キミは嘘つき蝶々

「こんにちは。
カンナちゃんと同じクラスの片桐ヒロくん……だよね?」

「は?」

爽やか野郎の言葉に俺は片眉を上げて、顔をしかめた。

なんでコイツ俺の名前知ってんだよ?

初対面で気味悪。

しかもカンナちゃんって。

下の名前でちゃん付けとか。

超、馴れ馴れしくねぇ?

「カンナちゃんとは親しいんですけどなにか?」とか言いたいわけ?

別にうらやましくもなんともねーっての。

俺も森口のプライベート知りたいとか。

カンナって呼んでみたいとか。

ミジンコほども思ってねーし!!

調子のんなよ、この野郎。

と、心の中で毒づきながら

「あんた誰?」

仏頂面でそう尋ねると、爽やか野郎はクスっと、無性に鼻につく笑い方をしやがった。

「僕のこと知らないかな?
同じ学校なんだけど?」

同じ学校ってだけで、男の顔と名前なんか覚えきれるか。

ってかコイツ、高校生かよ?

超、老けてんな。

20歳くらいかと思ってた。

………ん?

待てよ。この老け顔。

どこかで?

「!」

頭に浮かんだ顔と、老け爽やか野郎の顔が一致した。

着物なんて着てたから解らなかった。

コイツ確か三年で生徒会長の、松宮………なんとかだ。

女どもが猿みたいに騒いでたから、なんとなく覚えてる。